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ようやく今回でこのシリーズは終わりです。

┌──────────────────────┐
│(ひ)  一つ覚えた三手抜き         │
└──────────────────────┘
星へ白に両カカリされたときに手を抜くあれである。白にかけられ
てもこう打てば活きがあります。先にハネる手を忘れちゃいけませ
んよなどと教えられる三手抜きである。それ碁というものは活きが
あるからいいというだけのものではなかった。白にかけられた姿が
ひどいし、その上黒の活き方がみじめだから、ああいうのは絶対に
悪いと心得なければならないのである。けだし簡単に憶えられる様
なことは大抵悪いと、さる識者も言った事である。
┌──────────────────────┐
│(も)  漏れなく渡る参加賞         │
└──────────────────────┘
大会か碁会の参加賞である。漏れなくくれるのだから中味が大した
ものでないことだけはまず確実だ。歳末大売出しのくじ引きなら、
くじに何も書いていないマッチ三箱ぐらいの口である。ただし家へ
持って帰っても奥さんは、参加賞の意味がよく分らないから参等賞
ぐらいには思っているかも知れないのである。
┌──────────────────────┐
│(せ)  千里も近い郵便碁          │
└──────────────────────┘
無二の棋友が遠方に転任しても、郵便碁という手もまたなきにしも
あらずなのである。戦争花やかなりしその昔、慰問代わりに戦地の
棋友と郵便碁を取交していたら、間もなくまかりならぬという大隊
長からのお達しで取りやめにされたとか聞いた。何でも「はノ四」
とか「ぬの十二」とかいう符号が暗号に通じるからいかんというの
だそうである。いまは昔の物語り・・・。
┌──────────────────────┐
│(す)  隅に残った万年劫          │
└──────────────────────┘
いやらしい劫なのである。しかしどちらも劫にやって行かなければ
セキというのが今日の規約となつているのである。しかし碁のルー
ルを成文化させることはむずかしく、これでいいと思ったら、また
まずい面が現れるとさる学者も歎かれるのであった。
┌──────────────────────┐
│(京)  京で名高い寂光寺          │
└──────────────────────┘
本因坊家の菩提寺である。ただし本因坊家も三世の道悦までで四世
の道策から菩提寺は江戸本郷丸山の本妙寺に移った。思いはるかに
先哲の残した業績は赫赫として高く、余慶を受けていま棋界は未曾
有の隆盛期にあるのである。英霊よ、意を安んぜられんことを。
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┌──────────────────────┐
│(ゆ)  指で合図はインチキ師        │
└──────────────────────┘
むろんメゴか何かの懸賞碁である。かねてしめし合わせてある観客
の一人が指で打つ箇所を合図するのであるが、この場合は対局者よ
りも合図のインチキ師のほうが当然強くなければならない。ただし
指ばかりでなくいろいろな仕草で在るそうだから合図することもあ
り、天井から何かの方法で教えることもあるそうだから、とかく懸
賞碁などは打つまじきものである。
┌──────────────────────┐
│(め)  めったに出来ぬ石の下        │
└──────────────────────┘
形の自然な石の下も少なくないから、もっと実戦に現れてもよさそ
うに思うのであるが、その割りに見かけないのが少々不思議でもあ
った。しかし初心者は石の下というものに全然気がつかないし、強
くなればなったで石の下とならないように打つから、実戦に現れる
チャンスが少ないということもあるらしいのである。
┌──────────────────────┐
│(み)  妙手だろうと悦に入り        │
└──────────────────────┘
童心愛すべし、こういうところにも碁の良さがあるのだろう。多分
これはおじいさんかご隠居さんか、ご隠居さんなら「隅の石活きた
で隠居うれしがり」という川柳もある。
┌──────────────────────┐
│(し)  知っていたかと大笑い        │
└──────────────────────┘
これまた碁を打つ者だけが味わえる心境だろう。そうはいいながら
も折あらばと、たんたんとねらっていたら、敵もさる者ちゃんと心
得ていて適当な時機に手を入れながらハッハッハ知っとったかとい
うようなものである。
┌──────────────────────┐
│(ゑ)  宴会の碁は早く打ち         │
└──────────────────────┘
こうなると主は宴会で碁はさしみのツマみたいなものである。酒宴
も間もなく始まろうという料亭の一とき、隣の部屋か何かでパチリ
パチリとゃつていたら、やがてきれいどころなる女性が現われて、
ハーさん碁なんかおよし遊ばせよとか何とか言いながら盤面を崩し
てしまった。
少し早めたいと思う。

┌──────────────────────┐
│(え)  縁側で打つヘボ同士         │
└──────────────────────┘
強い人に見られるのが恥ずかしいということもあるのだろう。我々
は床の間を背にして打つような碁じゃないよと、ヘボ碁同士が妙な
ところで意気投合して、縁側でパチリパチリ打っているのである。
┌──────────────────────┐
│(て)  手合違いで碁にならず        │
└──────────────────────┘
マージャンなどと違って碁の手合違いは何ともひどいものですなあ
打てども打てども碁の形をなさず、しかし怒って碁盤中を引っかき
廻してしまうなどというのは穏やかでないからよろしくお辞儀をし
て手合い直しを乞うのがスポーツマンシップというものなのである
┌──────────────────────┐
│(あ)  当たり前さと憎いこと        │
└──────────────────────┘
多分手になりそうもないところが本当に手にならなかったのか、ダ
メの攻め合いがやっぱりダメだったというようなことだったろう。
やっぱりそうかといったら当たり前さと敵の憎いこと。こういうの
はよほど親しい碁友達か、それとも何か含むところがあるかのどち
らかに違いなかった。
┌──────────────────────┐
│(さ)  三本這って飛べといい        │
└──────────────────────┘
先生が手をとって教えているというのではなく、ふだん強ぶってい
るのがそういうことを言うのだろう。嫌味ふんぷんタリだが、しか
しせんせいが教えているのかどうか作者にも分らないのである。
┌──────────────────────┐
│(き)  気になる箇所は横目で見       │
└──────────────────────┘
敵の眼の動きで考えている箇所を察する手合もいるから碁は油断が
ならなかった。こうなると気になっているところは敵に悟られない
ように横目で見なければならないが、しかしやぶにらみという眼も
あるからその辺のところを計算に入れなければならないのである。
┌──────────────────────┐
│(け)  見当で打つ一分碁          │
└──────────────────────┘
早碁名人戦かテレビ対局か何かそんなところである。むろん早見え
早打ちの天才型が有利の筈だか、十六時間ないと打てないと仰せら
れた長考派の鈴木為次郎九段が、テレビでないラジオ碁で優勝した
こともあるから油断がならないのである。
┌──────────────────────┐
│(ふ)  更けて碁の音冴え渡り        │
└──────────────────────┘
多分双方とも高段か高段に近いか、とにかくちょっとした打ち手な
のだろう。腕の冴えに比例して打つ音も冴えるというのが昔からの
定説だからである。「碁の音や芙蓉の花に灯の移り」これだけでは
腕の方は分らないが、さすがに情景はあざやかに描写されていた。
┌──────────────────────┐
│(こ)  こたえられぬとメゴをほめ      │
└──────────────────────┘
それメゴとは何ぞやであるが、聞くところによる勝った目数に応じ
てご褒美も多くなる式の碁なんだそうである。目の色を変えてやっ
ているからメ碁というのかどうか、しかし一目勝っても百目勝って
も同じ勝の本碁と違って、百目は一目の百倍というのだから貪欲あ
くことを知らずあるいはこういう方が面白いかも知れないのである
遅くなってしまいました。

┌──────────────────────┐
│(く)  苦戦の後を観戦記          │
└──────────────────────┘
それ観戦記には手段の解説に重点を置く行き方と、情景描写に力を
注ぐ行き方との二つのケースがあるそうである。そのどちらにして
も読者に興味を与えさえすればいいのではないかといったら、どち
らが興味と満足を与えられるか分らないから問題になるのじゃと、
ある偉い人が仰せられるのである。
┌──────────────────────┐
│(や)  約束だよと白を取り         │
└──────────────────────┘
仕様が無いなと相手は苦笑しながら黒を持ったが、復仇成るかそれ
ともまたずるずる打込まれてしまうか、どうやら苦笑いの具合から
考えて前者の方じゃないのかな。
┌──────────────────────┐
│(ま)  また始まった待て待たぬ       │
└──────────────────────┘
置き直しでなく相手が打ってから待ったをするのである。「ちょっ
とその手を待ってくれ」「待ったかね」「待ったじゃないのだが、
そういう手があることを気がつかなかったのだから」やっぱり待っ
たなのである。相手は気持ちに余裕があるから待ったを許してやる
が、せっぱ詰まった碁だとここで待った待たぬが始まるのである。


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